神と自然との調和として世界文化遺産に登録されたバリ島の田んぼと水利組しき・スバック

バリ

日本から約4,800キロメートルはなれた所にインドネシアという国があります。赤道をまたがって、東西約5,100キロメートルととても長く、また世界中で一番多くの島 (約17,000島) がある国です。お米の生産量も世界第3位で、日本の約7倍となっています。

インドネシアではどのようにして米作りを進めてきたのでしょうか。今回はインドネシアのバリ島で行われている農業についてレポートします。バリ島の農業は、乾期 (かんき=雨のふらない時期) の水不足に対して、水をきっちりとかん理する組しき (スバックという) を作り、農業を進めてきました。このことについて調べていきます。

米作りはすべて楽しい

バリ島はインドネシアのほぼ中央にある小さな島です。ビーチリゾートや音楽、絵などが有名なので日本人も観光旅行でこの島を訪れることが多いようです。そんなバリ島には、とても美しい棚田 (たなだ) が広がっていて、伝統的 (でんとうてき) な米作りの島となっています。

  • バリの田んぼ
  • オーナー

バリ島に住んで農業をされているイ・マデ・ルンダさん (写真左の方) とイ・ワヤン・パニャースさん (写真右の方) に米作りについてお話を聞くことにしました。イ・マデ・ルンダさんは田んぼの持ち主で、かん理組しきスバックの長です。イ・ワヤン・パニャースさんは、この田んぼで米作りをされています。

はじめに、パニャースさんに、米作りの楽しい点についてお聞きしました。

パニャース「全部好きです。苗 (なえ) を育てるのも、田植えも、収穫 (しゅうかく) も、何もかも楽しいです。そして、悪いことが何もなくて、ちゃんと時期通りにできたら一番うれしいですね」

  • 害虫1
  • 害虫2

「悪いこととは、何ですか」 とたずねました。 パニャース「ネズミやバッタ、カニなどが大発生すると大変です。カニは一度に子どもを二千匹も産みます。カニは水路をこわしてあなを開け、水が出てしまいます。カニのために米がかれる場合もあります」

カニが発生したら、カマでカチカチとたたいて、たいじするそうです。「そのカニは食べられないのですか」とお聞きしましたら「食べると頭がいたくなるので食べられない」とのことでした。また、バッタは「わかい米」を食べてしまうそうです。

雨期と乾期を通して三期作を実施

  • 雨期と乾期1
  • 雨期と乾期2

バリ島は熱帯雨林気候で、雨期と乾期 (かんき) の2つの季節があります。年間平均気温は約28度です。乾期は4月から10月までで、日中は30度をこえる日もあります。雨期は11月から3月までで、スコール (=1日に2〜3時間、強い雨がふる) があります。

米作りは、二期作 (=1年に2回米作りをすること) ないしは三期作 (=1年に3回米作りをすること) が行われています。そのため、同じ地いきに田植えを終えた田んぼと、青々とした田んぼがまざっていました。

  • 育苗1
  • 育苗2

田植えに使う苗 (なえ) は、田んぼの一角に作った苗代田 (なわしろだ) に水をため、種を直接まいて育てます。

スワンナ

これは、脱穀機 (だっこくき) です。

  • 脱穀1
  • 脱穀2

カマでかる稲 (いね) かりが行われていました。かりとった稲を手に持って、脱穀用のあみにたたき付けてもみを落としていました。

  • 根刈り1
  • 根刈り2

これは、竹でつくられた農具に稲をたたき付けて、もみを落とす方法です。

  • 篩1
  • 篩2

脱穀をしたもみは、篩 (ふるい) を使ってゴミなどを取りのぞき、バケツにためていきます。

  • 藁束1
  • 藁束2

ワラはたばねておいて、牛のえさにします。

キャベツ畑

田んぼを畑にしてキャベツを育てている所もあります。夕方に収穫 (しゅうかく) し、夜に市場へ出荷します。

田んぼのお寺

パニャースさんが左手で持っている農具は、田植えをする前に田んぼを平らにするもので、やしと竹で作られています。右手に持っている農具は、日本では見かけませんね。これは、ふると大きな音が出るので、鳥をおいはらうことに使われているそうです。

パニャースさん
  • 柄振
  • 牛

この写真の牛は、バリ島特産の牛で、あしの下部が白いのが特長だそうです。

  • お寺1
  • お寺2

バリ島の田んぼの中には写真のようなものがあります。これは、「お寺 (プラ=Pura) 」なのです。バリ島ではバリ・ヒンドゥー教というしゅう教が広まっていて「土地はその上にあるものをふくめて神の所有であり、人間はその上で働き、そこからえられるものを楽しむことがゆるされる」と考えられているからです。

お寺3

バリ島の農作業では、さまざまな儀式 (ぎしき) がこの「お寺」で行われています。 ルンダさんは「水の神、火の神、田んぼの神、稲の神…バリには神様がいっぱいいます」とお話しされました。

乾期も水にこまらないスバックの力

ミーティング

「水は、スバックがちゃんとかん理しています。スバックの始まりは、水を配分するためのミーティングです。ずっと昔からあります」とルンダさんはお話しされました。

200年の伝統を誇るスペイン・バレンシアの田んぼ