- TOP
- 水を生産する、心を潤す
- 世界の田んぼレポート
- 機械化に舵を切ったミャンマーの田んぼ
日本の3倍以上お米を食べる国。米輸出大国復活に向けて機械化に舵を切ったミャンマーの田んぼ。
ミャンマー向けのコンバイン
この日、コンバインを使用しての稲刈りが行われるとのことで、ソーヨータさんに案内していただきました。ヤンゴン郊外の田んぼです。ヤンゴン川をわたり、東に約50kmの位置にあるトングヮ地区の田んぼです。

ミャンマーの気候は熱帯モンスーン型であり、雨季 (5月中旬〜10月中旬頃) にはベンガル湾から吹く湿った南西モンスーンが降雨をもたらし、乾季 (11月〜2月頃) には大陸からの乾燥した北東モンスーンのため降雨量は非常に少なくなります。ちなみに、暑季 (3月〜5月中旬頃) は大変厳しい暑さが続くそうです。
ミャンマーの稲作地帯は、ここ南部で、ヤンゴン周辺は世界有数の米所です。7月頃から田んぼに直接、種籾を撒き、10〜11月頃に稲刈りとなります。この日は乾季らしく、空は晴れわたっていました。
田植えが出来なくなった労働力の不足は、稲刈りでも同様です。田植えの場合は直播栽培に転換することで対処出来ますが、稲刈りはそうはいきません。コンバインの導入は必然的な流れであったとも言えそうです。
これがミャンマー仕様のコンバインです。日本のコンバインとは違い、前部の刈り取り部がリールになっています。この違いは、お米の種類の違いからきているそうです。村田社長にお伺いしました。
村田「籾の脱粒性の違いです。籾が外れにくい日本のジャポニカ米は、日本で使用されている刈り取り部が適した構造ですが、ミャンマーのように脱粒性が高いインディカ米に対しては、このリールの方がより低ロスでの刈り取りが可能となります」
インディカ米が多い東南アジアでは、このタイプのコンバインがスタンダードとなっています。

見渡す限り稲穂が揺れる広々とした圃場です。澄んだ青空にエンジン音が響き渡り、稲刈りが始まりました。
ほとんど倒伏しているような稲穂も、スムーズに刈り取ります。
藁は切り刻んで、後部から排出し、田んぼにばら撒きます。
「機械が入って、便利になりました。良くなりました」
この田んぼの持ち主であるチョージアさんにお話をお伺いしました。チョージアさんは祖父母の代からの稲作農家です。親しみを込めて「ボスチョー」というニックネームで呼ばれていました。まず、機械化についてのメリットをお聞きしました。チョージア「機械が入って、便利になりました。良くなりました。工程も時間も短縮されました。昔は機械が無かったので、刈るのも時間がかかるし、人をたくさん使うので、人件費もたくさんかかっていました」米作りで一番楽しいのは、どんな時ですかという質問には、にこにこと笑ってこたえてくれました。チョージア「米作りで楽しいのは収穫のとき、いまの時間ですよ (笑)。機械のおかげで早く刈り取れるので、早く収入を得ることが出来ます」

コンバインの作業をご近所の方々が熱心に見つめています。
コンバインによる稲刈りを、ご近所の方々が熱心に見つめていました。チョージアさんも一緒に見つめています。
刈り取った籾がコンバインのグレンタンク一杯に溜まったら、田んぼにシートを広げて排出します。

この藁は、牛の飼料にするそうです。
田んぼの中に建っている家です。大きな水瓶が置いてあります。雨季には雨水を溜めて、その雨水で体を洗うこともあるそうです。

「機械代は、高くはありません」
チョージアさんに、機械代の負担についてお聞きしました。
チョージア「機械代は、高くはありません。しかし、支払い期間がローンなどを組むことによって3年とか、5年に出来ればもっと楽になると思います。もっと便利になり、機械もたくさん売れて、農家のためにもなると思います」
この後、クボタミャンマーのマネージャ・ソーヨータさん、チョージアさん、そしてチョージアさんのお米の販路を担う流通業者のタンナイさんが精米所、町の米穀店などを案内してくれることになりました。

と言いながら、精米所に行く前にまずは休憩です。熱帯モンスーン型気候のため、あまり無理をしないで、休憩も大切にしています。ここは、バス停です。

チョージアさんが休憩用にフルーツを用意してくれていました。左端のマンゴーだけが国産でリンゴ、ブドウ、ミカンは輸入品だそうです。
下の写真の右端、オレンジ色の帽子を被っている方が流通業者のタンナイさんです。
皆さんが着用している腰巻きはロンヂーという名前の民族衣装です。ミャンマーでは役所にも出かけられるフォーマルウェアとして認められています。
